がんのステージとは、がんの進行具合を判定する基準のことです。「病期」ということもあります。がんの治療も、このステージにより標準的な治療がおこなわれます。それぞれのステージに進行度の特徴などがありますので、がんをより知るためには、ステージをよく理解しておくことが必要です。
がんのステージ分類方法にはさまざまな方法があります。そのなかでも、国内で最も使用されているのが国際対がん連合(UICC)の「TNM分類」です。これはがんの広がり、リンパへの転移、遠隔転移からがんのステージを決めるものです。しんこうどにより、0~4期までの5段階のステージに分類します。この TNM分類はほとんどのがんで用いられています。
がんのステージではローマ数字多く使用され、Ⅳ期が最も進行しているステージです。そのステージを決定するのは、上記のように「TNM分類」となります。NMはそれぞれ、T:tumor(腫瘍)、N:lymph nodes(リンパ節)、M:metastasis(遠隔転移)の意味となります。分類方法としてはT因子:腫瘍がどれくらいの大きさになっているか、N因子:周辺のリンパ節への転移の有無、M因子:他の臓器への転移の有無となっています。これらを総合的に判断してステージを決定し、そのステージに応じた治療をおこないます。
がんのステージには、それぞれ指標が決まっています。ただ、胃がんや乳がんなど、がんの種類によって異なる場合もあります。例えばⅠ期の場合すべてのがんの共通事項では「遠隔転移がない」ことになっていますが、胃がんでは「がんが粘膜、粘膜下層にとどまっている、または筋層に入り込んでいる 」ことが追加されています。このように細かい部分ではがんの種類により指標は異なりますが、大まかにある程度共通している事項を以下にご紹介します。
がんが上皮内(皮膚や内臓の表面)に留まっているがんで、転移をしていない極めて早期の状態。
がんが上皮層を突き破っているが、筋肉の層にとどまっている。リンパ節へは転移していない状態。
がんは小さく浅い部分にあるが、リンパ節に転移があるか、または、がんはやや大きいまたは深いがリンパ節などに転移はない状態。
がんが大きいか、または深いところにあり、リンパ節に転移している状態。または、局所で進行していたり、リンパ節転移がある程度広がっている状態。
がんが他の臓器にも転移している状態。
1年生存率:99.5% 2年生存率:98.2% 3年生存率:97.0% 4年生存率:95.8% 5年生存率:94.7%
1年生存率:94.7% 2年生存率:88.4% 3年生存率:84.0% 4年生存率:80.9% 5年生存率:78.5%
1年生存率:85.1% 2年生存率: 72.3% 3年生存率: 65.4% 4年生存率:61.0% 5年生存率:58.1%
1年生存率:57.2% 2年生存率:38.3% 3年生存率:29.9% 4年生存率:25.7% 5年生存率:23.0%
引用元:全がん協加盟施設の生存率共同調査「全がん協生存率」https://kapweb.ncc.go.jp/simple
上記のように、がん生存率はステージにより異なります。そして、治療方法もステージにより違ってきます。例えば日本人に一番多い大腸がんのを例に取ると、次のような治療方法になります。
今回はがんのステージについてご紹介してきました。ステージに用いる指標はTNM分類がよく使用されており、そのステージごとに進行度合い、治療方法、生存率なども変わってきます。重要なことはステージが進まないうちにがんを発見することです。早期発見、早期治療を実現するために、少しでもおかしいと思ったら、必ず検査を受けるようにしてください。