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がん治療で見られやすい口のトラブルは?原因や対処法を解説!

がん治療を受けると、さまざまな副作用やトラブルが生じやすくなります。食事や会話に影響が出たり、細菌に感染するリスクが高まったりするのです。このようなトラブルが生じると、がん治療の妨げになるため、十分注意しなければなりません。合併症予防の観点からも、口腔内のケアをしっかりと行い、予防していくことが重要です。

ここでは、抗ガン剤治療による口の副作用やトラブルが生じた際の対処法について紹介していきますので、ぜひ参考にしてください。

抗がん剤治療による口の副作用

がん治療を受けている場合、起きやすい症状の1つに口内炎が挙げられます。抗がん剤の内容やがんの種類によっても異なりますが、ほとんどの抗がん剤治療で見られやすいです。

口内炎

口内炎は、抗がん剤投与後7日~10日ほどで起こり、その後自然に治癒していきます。しかし、全身状態が悪かったり、口腔内が清潔ではなかったりすると、治癒が遅れるだけではなく、口内炎の傷から感染を起こすこともあるため注意が必要です。

抗がん剤治療によって口内炎になった人の約5割が重症で、抗がん剤の投与量の減量やスケジュール変更など、がん治療に影響が出ています。

歯の感染症

抗がん剤治療をしていると、骨髄抑制が起きやすくなります。骨髄抑制とは、がん治療によって骨髄の働きが低下し、免疫力も落ち感染症にかかりやすくなる状態です。

治療中、だるさや吐き気・嘔吐などの症状が見られる場合、口のケアがなかなかできず、細菌が増えやすくなります。その状態になると、口腔内の感染症を引き起こすリスクが高まってしまいます。

また、免疫力が低下した状態で感染が起きると、全身に影響を及ぼす危険性があります。

実際、歯周病や虫歯の治療が行われていない状態で抗がん剤投与が開始されると、今まで症状がなかった歯が急激に悪化し、腫れや痛みが見られやすくなります。

味覚異常

一般的な味覚障害は、薬剤の影響や亜鉛不足、精神疾患、全身疾患(肝障害・腎障害・糖尿病)、口腔疾患(口腔乾燥、舌の汚れ)が原因と言われています。

抗がん剤治療を受けると、味を感知する味蕾に障害が起きたり唾液分泌低下による乾燥などが起きたりするため、味覚障害が起きやすくなります。がん化学療法を受けた方の約50~60%に何らかの味覚障害が生じます。

口腔乾燥症

一般的に抗がん剤は、血流が豊富で細胞分裂が盛んなところに起きやすいです。口の中は細胞分裂が活発に行われていることから、副作用など影響を受けやすいです。

また、唾液腺は血液から唾液を作り出しているため、血中の抗がん剤の影響を受けやすいと言われています。そのような状態になると、口の中がダメージを受けて、口腔乾燥の症状が見られやすくなるのです。

口のトラブルが発生してしまったら

口腔内の副作用やトラブルが起きてから対応するのは遅いと言われているため、がん治療の開始前から備えておく必要があります。常に口を清潔にして、トラブルが起きにくいように準備しておくのがおすすめです。

虫歯や気になる症状がある方は、治療開始前に歯科を受診して、口腔内の環境を整えておきましょう。

口内炎

口内炎ができてしまったら、痛みなどの症状改善はもちろん、症状を悪化させないように努めます。消炎・鎮痛作用のあるうがい薬が処方されることがあります。

1日5~8回うがいをして、口の中を清潔に保つよう心がけましょう。口の中の痛みが強い場合、食事をするのが苦痛になる方もいます。そのようなときには、柔らかくて刺激の少ない食品を選ぶとよいでしょう。

感染予防

口腔内に感染が見られると、痛みが強まったり治癒が遅れたりします。感染を予防するためには、歯ブラシで口腔内を清潔に保つことが重要です。痛い部位になるべく触れないよう、優しくブラッシングしましょう。

また、ヘルペスやカンジダなどの感染がみられる方もいるため、注意が必要です。ヘルペスは「針で刺されるような激しい痛み」、カンジダは「ちょっとした刺激でピリピリと痛む」のが特徴とされています。

急に口腔内の痛みが悪化した場合には、感染が起きている可能性があるため、早めに医師や看護師、かかりつけの歯科医に相談してください。

保湿

粘膜が乾燥すると、感染が起きやすかったり痛みが強まったりしやすくなります。軽い口内炎は、口の中を保湿しただけでも症状が軽減します。

うがいを意識的に行うほか、白色ワセリンで粘膜の乾きを防ぐようにしましょう。アルコールが含まれたうがい薬は、粘膜の水分を奪ってしまうため、使用を控えるようにしてください。

保湿作用が期待できるうがい薬やスプレー、軟膏、ジェルなど、症状に合ったものを選びましょう。

痛みの緩和

痛みが強いと、日常生活に影響を及ぼします。粘膜の痛みには鎮痛剤が有効なので、主治医に相談して処方してもらうとよいでしょう。また、粘膜の知覚を一時的に麻痺させる表面麻酔薬を直接塗布したり、うがい薬に混ぜたりすることで、痛みが軽減しやすくなります。

感染症

虫歯や歯周炎の悪化など、口のトラブルが生じた場合には、歯科を受診して治療や処置を受けなければなりません。

そのような状態にならないためにも、予防をしっかりと行うことが重要です。

がんの治療が始まる前に、歯科を受診するようにしてください。なお、受診した際、歯科医に、がんの治療を受けること・がん治療のスケジュールを伝えるようにしましょう。

口の中のトラブルケア

治療前や治療中、口の中のトラブルを起こさないように歯科を受診して治療したり適切なセルフケアを行ったりする必要があります。ここでは、口の中のトラブルに対するケアについて紹介します。

治療前の口の中のケア

虫歯がないか検査

大きな虫歯や歯周病など、がん治療の妨げやトラブルになりそうな箇所がないか検査を受けましょう。

もし、治療が必要と判断された歯がある場合は、主治医と相談しながら、可能な範囲で応急的な治療を行います。

歯科クリーニング

口腔内の細菌感染を予防し、治療時のトラブルを防ぐために重要なのは「トラブルの原因となる細菌を減らすこと」です。そのためには、歯科で歯石や汚れを取り除いてもらうことが大切です。

セルフケア

歯科でクリーニングを行った後は、正しい歯磨きを心がけましょう。歯科で口腔内を綺麗にできたとしても、その後にきちんとセルフケアできていないと、また細菌が繁殖してしまいます。

口の中を良い状態に保つためには、毎食後と就寝前の歯磨きをしっかりと行うことが大切です。義歯を装着している方は、毎日はずして洗浄し、清潔に保つようにしましょう。

正しく磨けているか自信がない方は、歯科でブラッシング指導を受けるのが望ましいです。

治療中の口の中のケア

保湿

唾液がねばついたり乾燥が気になったりするときには、こまめなうがいを心がけましょう。口をすすいだ後、保湿スプレーや保湿ジェルを用いて、口の粘膜の保湿を行ってください。

マウスウォッシュは、ノンアルコールで低刺激のものを選ぶとよいでしょう。

虫歯予防

がん治療中は、虫歯や歯周病などのトラブルを防ぐために、患者さん自身で歯磨きを行うことが重要です。痛い部位がある場合、なるべく触れないように優しく歯ブラシを動かすようにしてください。通常の歯ブラシで痛みを伴う場合は、歯科などに相談して、ブラシ部分が柔らかいものを選ぶとよいでしょう。

歯磨き剤は必須ではありませんが、使う場合は低刺激のものを選んでください。口の中の痛みが強い場合は、うがい薬を処方してもらえるケースもあるため、主治医に相談するとよいでしょう。

口から摂取していなくても口のケアは必要

口から食事を摂れない場合、咀嚼して飲み込まないため、唾液の量が少なくなり、口腔内の自浄作用も低下しやすくなります。 そのような状態になると、口の中の細菌が増えて不潔な状態となり、さまざまなトラブルが起きやすくなるため、注意しなければなりません。

がん治療を受けている場合、体調が優れないこともあります。そのような場合でも、1日1回はしっかりと歯磨きを行って、汚れを落とすよう心がけましょう。

口腔内の乾燥は、痛みや汚れなどを招きやすくなるため、うがいを意識的に行ってください。