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がん治療で見られやすい骨髄抑制とは?

抗がん剤治療を受けると、骨髄抑制が見られることがあります。

「骨髄抑制の状態になるとどんな症状が出る?」「治療法や自分でできる対処法が知りたい」と思っている方もいるでしょう。当記事では、骨髄抑制の原因や症状、どのような状態かまとめ、治療法や対処法なども紹介します。抗がん剤治療を受ける方は、ぜひ参考にしてください。

がん治療の骨髄抑制とは

骨髄抑制とは、がんの治療の副作用やがんそのものによって、骨髄の働きが低下している状態を言います。ここでは、原因や症状について紹介します。

骨髄が影響すると血液細胞を生成する機能が低下

薬物療法で用いられる一部の薬剤や放射線治療によって、骨髄が影響を受けてしまうと、血液細胞を生成する機能が低下してしまいます。

赤血球が減少すると貧血、白血球が減少すると感染症、血小板が減少すると出血などの症状が見られやすくなるため、注意が必要です。

原因

殺細胞性の抗がん剤

細胞が分裂して増える過程で作用する薬剤です。細胞分裂が活発だと強く影響をします。骨髄は細胞分裂が非常に活発なため、強く影響を受けてしまい、骨髄抑制が起こるとされています。

分子標的薬の抗がん剤

特定の標的を持った細胞に対してピンポイントで攻撃できる薬剤です。このタイプの薬剤を使うと、頻度は少ないものの骨髄抑制が起きるとされています。

がん免疫治療薬

自分自身の免疫の力を利用して、がんを攻撃するタイプの薬剤。このタイプの薬剤は、頻度は少ないものの白血球の減少が起こることが報告されています。

※分子標的薬とがん免疫治療薬の原因は、明確なことが解明されていないのが現状です。

骨髄抑制の症状と発現時期

骨髄抑制が起きた場合、症状のあらわれ方は、患者さんの状態や治療歴、使用する薬剤の量や組み合わせ、投与量、投与方法によっても異なります。

抗がん剤の副作用である、脱毛や吐き気などの症状とは異なり、見た目ではわからず、すぐに自覚症状も現れないことがあるため、自分自身で気づきにくいと言えます。

骨髄抑制が起こっているかどうかは、血液検査を受ける必要があります。血液検査の頻度や症状などについて不明点がある方は、主治医にしっかりと相談しておくこととよいでしょう。

抗がん剤による影響を最初に受けるのは白血球です。赤血球や血小板は輸血で補えますが、白血球は輸血できないため、感染対策をしっかりと行うことが重要です。

参照元:「抗がん剤治療における骨髄抑制と感染症対策」/静岡県立静岡がんセンターPDF(https://www.scchr.jp/cms/wp-content/uploads/2016/02/c16b682ffe2dc4d62d785ff5ddd79a7f.pdf)

骨髄抑制の治療

骨髄抑制に対する治療は、対症療法が主だと言われています。症状が軽度なうちに対処することが重要になるため、気になることは速やかに主治医へ相談しましょう。この章では治療法を紹介します。

白血球の減少

基本的な感染予防対策を続けていくことが重要です。感染が起きた場合、抗生剤や抗菌剤、抗ウィルス薬を用います。内服の途中で症状が軽減したとしても、自己判断で中断しないようにしてください。

G-CSF(顆粒球コロニー形成刺激因子)を使用することもあります。好中球を増やして、骨髄の機能が回復するまでの時間を短縮するために用います。投与する時期や適応など、不明点がある方は主治医に確認するとよいでしょう

赤血球の減少

白血球や血小板と比較すると、抗がん剤による影響が生じるのは時間がかかりやすいため、長期的に観察を行います。慢性的に経過するケースもあり、自覚症状が出にくい傾向にあります。

貧血症状が出やすいときは、なるべく安静を心がけましょう。立ち眩みやだるさにより転倒しやすくなるため、無理をしないよう心がけましょう。

輸血をすると、赤血球減少を速やかに改善する作用が期待できます。
※輸血の適応は一人ひとり異なります。詳しくは医師に直接確認してください。

血小板の減少

鼻を強くかまない・転んでけがをしないよう気を付けるなど、日常生活で注意できることを心がけましょう。万が一、出血してしまった場合は、クーリングや圧迫して止血を行ってください。

輸血をすると、血小板減少を速やかに改善できる効果が期待できます。
※輸血の適応は、赤血球同様、一人ひとり異なります。詳しくは医師に直接確認してください。

自分でできる対策

骨髄抑制が起きている場合、細菌感染を起こすことがあります。感染してしまうと症状が重症化してしまうことがあるため、感染予防に気を配る必要があります。

日常生活でできる対策

手洗いやうがいを心がけましょう。なるべく毎日入浴をして、清潔な状態を保つようにしてください。発熱時やだるさがある場合は、入浴やシャワー浴ではなく、清拭を行うとよいでしょう。

歯磨きの際は、毛先の柔らかい歯ブラシを用いて、口腔内の清潔を保つよう心がけてください。その際、口腔内を傷つけてしまわないよう注意が必要です。

外出時は、人ごみを避け、マスクをして感染予防に努めましょう。転倒や火傷、切り傷には十分注意してください。

食事の際の注意点

白血球の減少が見られはじめたら、食事は加熱されたものを摂取しましょう。生魚や貝、生肉、生卵の摂取は控えるようにしてください。食事の調理後、時間を置かずに2時間以内を目安に食べきりましょう。生野菜や果物はよく洗ってから食べるようにしてください。

ペットボトルなど、直接口をつける飲み物は、飲みきれるサイズを選びましょう。飲み残した場合は、破棄するようにしてください。

主治医へ連絡が必要な症状

感染症にかかると以下のような症状が見られることがあります。以下の症状が見られた際にはもちろん、気になることがある場合は、早めに主治医や看護師に相談しましょう。

寒気や悪寒、咽頭痛、38℃以上の発熱が見られた場合は、早めに主治医へ相談しましょう。

歯肉の痛みや口内炎・虫歯による症状をそのままにしておくと、悪化する可能性があるため、主治医に相談の上、歯科を受診するようにしてください。

傷口や吹き出物周囲の痛みや発赤、排尿時痛・血尿・頻尿・残尿感・肛門痛などの症状が見られる場合も、速やかに報告しましょう。

がん治療を受けている女性で、不正出血やおりものの増加などの症状が見られる場合には、主治医へ相談してください。