そもそも、悪性リンパ腫とはどのような病気なのでしょうか?
悪性リンパ腫とは、がんの一種である血液がんのうち、免疫システムの一部であるリンパ系組織とリンパ外臓器(節外臓器)から発生するがんのことです。そのため、発生する場所もリンパ節やリンパ管、脾臓、胸腺、扁桃をはじめとするリンパ系の組織となっています。症状には、発生した場所によって、まったく違う症状が引き起こされ、そして治療法も異なるのが特徴です。
また、悪性リンパ腫を引き起こす原因は、免疫力の低下だと考えられています。健康な状態であればリンパ球の中でがん細胞が生まれても、そのがん細胞は免疫機能によって排除されるのでがんにはなりません。しかし、免疫機能が落ちているとがん細胞を排除できなくなり癌細胞が増殖、悪性リンパ腫を引き起こすとされています。しかし、そのメカニズムはまだ完全には解明されていません。
悪性リンパ腫は、さらに「ホジキンリンパ腫」と「非ホジキンリンパ腫」の2種類に分類されます。腫瘍内に大型腫瘍細胞の見られる症例がホジキンリンパ腫、見られない症状が非ホジキンリンパ腫という分類になっており、ここからさらに細分化されているのです。
ホジキンリンパ腫は、リンパ球のがんです。日本で発生する悪性リンパ腫全体のおよそ5~10%と言われています。
非ホジキンリンパ腫は、原因が明らかになっていませんが、ウイルス感染が原因とされています。また、発症のリスクが高いとされているのは、免疫不全症候群、臓器移植、殺虫剤や除草剤に多く触れてきた人、ホジキンまたは非ホジキンリンパ腫患者の近親者です。
悪性リンパ腫の症状の代表的なものは、リンパ節のしこりです。初期段階では痛みはなく、主に首や腋の下、足の付け根などのリンパ節が集中しているところに現れます。こうしたリンパ節のしこりは悪性リンパ腫の初期症状でもあります。
ほかの症状としては、原因不明の体重減少や発熱、布団などを取り替えなければならないほどの寝汗が挙げられます。これら3つの代表的な症状はまとめて「B症状」と呼ばれています。これ以外の症状としては、体のかゆみ、皮膚の発疹などがあります。
症状が進行し臓器にリンパ腫が広がると、臓器によってさまざまな症状が現れます。肺や気道などにリンパ腫が広がった場合の症状は、呼吸困難や気道閉塞、咳などです。腹部にリンパ腫が現れた場合には、両足などと腹部よりも下の部分のむくみや尿路障害が出ます。肝臓の場合には黄疸や腹水、皮膚の痒み、骨格の場合は痛みなどがあります。
ほかの症状としては、半年間で10%以上の体重減少や感染症の罹患率が上昇することなどが挙げられます。
また、悪性リンパ腫の症状は、その進行度合いによってⅠ期からⅣ期の4段階に分類されます。また、これらの分類はAnnArbor分類とLugano分類のふたつに分かれます。ここでは、進行度合いごとの症状について詳しく解説していきましょう。
リンパ腫がリンパ節もしくはリンパ組織の1ヶ所に現れている段階です。もしくは、リンパ外臓器にリンパ腫があるが1ヶ所のみの場合もこの段階に当てはまります。
横隔膜を境にした場合の上半身もしくは下半身にあるリンパ節に、2ヶ所以上のリンパ腫が確認される段階です。また、上半身・下半身のどちらかにリンパ臓器に1ヶ所以上、リンパ外臓器にリンパ腫が認められる場合もこの段階に該当します。
横隔膜を境界にした上半身と下半身の両方の2ヶ所以上のリンパ節にリンパ腫が認められる場合、この段階に該当します。
もっとも重篤な段階で、リンパ腫がリンパ節だけでなくリンパ外臓器にも広い範囲に渡って広がっている状態です。
消化管にのみ単独または複数の悪性リンパ腫が発症した段階です。
消化管で発生した悪性リンパ腫が腹腔内にまで進行した段階です。
悪性リンパ腫付近の臓器や組織にまで漿膜の浸潤が認められた段階です。
リンパ節の外への漿膜の浸潤もしくは消化管病変に加えて横隔膜をリンパ節病変が認められる段階です。
悪性リンパ腫の症状分類である前述のⅠ期~Ⅳ期の段階は、さらに全身症状の有無によってA(症状なし)またはB(症状あり)にそれぞれ細分化されています。
A症状とB症状の判別基準は、「38℃より高い原因不明の発熱があること」「寝具を変える必要があるほどの大量の寝汗をかいていること」「診断前の6カ月以内に通常体重の10%を超す原因不明の体重減少」とされています。
血液のがんの一種で免疫システムに密接している悪性リンパ腫は、まだそのメカニズムが完全には解明されていないがんの一つ。しかし、化学療法と放射線治療を適切に組み合わせる治療が有効とされています。
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