小腸がんというのは、一般に小腸と言われる十二指腸・空腸・回腸にできるがんのことを指します。
小腸がんとなるのは、胃と小腸をつなぐ十二指腸、小腸の前半部分の空腸、後半部分の胆のうや膵臓と管でつながっている後半部分である回腸があり、合計して6~7m程の長さがあります。
小腸にできるがん(悪性腫瘍)には、さまざまな種類があると言われています。小腸がん自体の発生は確率的にあまり多くなく、その中でも種類として神経内分泌腫瘍や腺がんが多く確認されています。
また、まれに発生するタイプの小腸がんとして、カルチノイド腫瘍や悪性リンパ腫、平滑筋肉腫・カポジ肉腫の発生も確認されています。
小腸がんは、早期の頃は自覚症状が出にくく、異変に気づくころにはある程度症状が進行していることが多いがんです。
進行してから現れる自覚症状として、腹痛や膨満感、吐き気、嘔吐、血便などの胃腸辺りの違和感・症状や、貧血や黄疸などの症状が出る場合もあります。
黄疸が出るケースは、十二指腸にある胆汁の出口部分にがんができた場合に限られているので、多くの人にでる症状というわけではありません。
十二指腸よりも奥の空腸や回腸にできているがんの場合はとくに内視鏡による発見が難しいため、進行して自覚症状が出てからがんに気づくケースが多くなります。
小腸のがんは、進行していくと吐き気やおう吐の症状が出ることもあります。
患部から出血した場合には、下血や貧血といった症状が引き起こされるケースもあるようです。
小腸がんは、問診からカプセル内視鏡、ダブルバルーン内視鏡、ソマトスタチン受容体シンチグラフィーなどの検査で発見、診断されます。
ただし、小腸の奥の方では内視鏡での診断も難しく、自覚症状も早期では現れないので早期での発見は難しいとされています。
十二指腸の途中までは、胃カメラ(上部消化器官内視鏡)での観察で発見することができます。
それよりも奥の小腸がんは、ある程度進行した場合に、自覚症状である、貧血や腹痛、腸閉塞、血便、膨満感、嘔吐などをきっかけに発見されることが多くあります。
自覚症状やCT検査により小腸がんが疑われた場合には、「カプセル内視鏡検査」や、バリウムを使用した「小腸造影検査」という選択肢もあります。しかし、これらの検査では細胞の採取ができないため、細胞を採取する場合には、バルーン小腸内視鏡による検査を行います。
このバルーン小腸内視鏡は、カプセル内視鏡やバリウム検査で腫瘍の位置を特定し、口側と肛門側のどちらか、近い方から挿入します。
内視鏡の外側にバルーン付きの筒を沿わせて、小腸を手繰り寄せることができる特殊な内視鏡で、小腸の深部にまで挿入し腫瘍の細胞を採取することができますが、すべての小腸内を検査できるわけではありません。
そのため、腫瘍の位置がバルーン小腸内視鏡での検査が難しい位置と判断された場合には、手術による診断が必要になることもあります。
小腸がんは、がんとしては稀な腫瘍であり、科学的根拠に基づくガイドライン(標準治療)は未だ確立されていません。
発見が早期ではなく、症状が比較的進行した時点になることが多い小腸がんは、内視鏡的治療が難しいこともあり、手術での治療を行うケースが多くなります。
手術ができない場合には、閉塞を回避するバイパス手術が選択されることもあります。その他には、胆のうや胆管を小腸に直接つなぐという選択がされることもあります。そのほか、放射線療法、化学療法を行うこともあります。
良性腫瘍の場合には基本的に経過観察にもなります。小腸がんは、がんの種類によっては担当する診療科も、血液内科、消化器内科、外科、放射線科と、多くの診療科が対応してくれることもあります。複数の診療科のある病院で治療を受けられるようにしましょう。
ステージ1で、内視鏡の挿入が可能な部位に腫瘍がある場合は、内視鏡的切除が行われる場合もあります。それ以外のステージ1、ステージ2・3の場合には、腫瘍周囲にあるリンパ節も含めた外科的切除手術が選択されることもあります。
小腸がんの場合は、手術であきらかな腫瘍を切除する根治手術が終わった後の、再発予防を目的とした治療が確率されておらず、薬剤についても保険適用となっているものがありません。
そのため、切除手術後は、経過観察を継続していくことが一般的となっています。
小腸がんにおいては、手術が優先されており、放射線による治療は補助的な位置にあるようです。
1つ目は、少数の再発や遠隔転移の場合、薬物療法に加え、放射線治療を選択することができます。腹部や鎖骨上、縦隔などリンパ節転移、骨転移、肺や肝臓の転移が対象となり、腫瘍に対する効果を期待することができます。
2つ目として、緩和的放射線治療があります。ただし、それらの治療が適切な治療なのかについては、小腸がんの治療を行う医師の判断も必要になります。適用がある人と効果が期待できない人もいるので、治療を受ける前にはしっかりと検討を行うようにしましょう。
小腸がんの再発や、ステージ4で全身に腫瘍が及ぶと考えられる場合は、小腸だけの治療ではなく、全身への化学療法による治療がおこなわれます。
小腸腺がんの化学療法として、大腸がん治療として実績があるCAPOX療法やFOLFOX療法の治療成績が良好であると言われています。
小腸がんは、がんの中でも発生確率があまり高くない種類のがんとなっています。しかし早期のころは自覚症状が出にくいため、発見された時にはある程度症状が進行していた、というケースも少なくありません。
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