放射線治療では、トモセラピーの他にもリニアックという放射線治療機器が使用されています。どちらもがん治療に活躍している治療装置ですが、その機能などにどういった違いがあるのかについてまとめてみました。
トモセラピーとは、アメリカで開発された強度変調放射線治療(IMRT)専用ともいえる高精度放射線治療装置です。放射線治療装置とCTを一体化させたことで、正確な病巣の部位や形を把握することが可能なのが特徴。
病巣に放射線を集中照射することができるので、周囲の正常組織への侵襲(影響)が少ないため、副作用の軽減が望める身体に優しい放射線治療と言われています。また、トモセラピーの治療では、様々な部位や大きさのがんに幅広く対応することができるとされていて、そうした治療効果の高さもトモセラピーが注目される理由となっています。
このように放射線治療の先端テクノロジーで、これまでの放射線治療よりも身体に優しい放射線治療を可能としたのがトモセラピーなのです。
リニアックとは、放射線治療の中でも一般的な放射線治療法で、X線や電子線を用いて体外から放射線を照射していく放射線治療装置です。リニアック(直線加速器)という名前の通り、荷電粒子を一直線上で加速させて発生した放射線を当てることで、がんなどを治療していくことが特徴。
基本的には、どの部位のがんでも治療対応が可能で、まずCT画像を用いた精密な治療設計を行った後、病巣へ多方向からピンポイントに照射。正常組織への悪影響を極力抑えながら、がんの破壊や進行を抑制するなどの効果が期待できます。
治療を受ける際は、仰向けに静止して10分~20分ほど寝ているだけなので、体力が低下している患者さんにも影響が少なくて済む点も、リニアックの特徴と言えるでしょう。
トモセラピーとリニアックでは、どちらもがんの病巣を狙って放射線を照射し、周囲の正常組織への影響を極力少なくした治療を行うという点での違いはありません。
ですが決定的に違うのが、リニアックよりもトモセラピーの方が技術的な精度がより向上しているという点です。360度の革新的な照射技術(IMRT)を持つトモセラピーは、直線的なリニアックより隣接する正常組織への線量を低減し、病変に高い線量を集中させて照射することが可能です。
また、画像誘導放射線治療(IGRT)を標準装備していますので、より精度の高い治療を行えるようになっています。さらに、数回に分ける必要があった広い範囲の治療でも、CT技術を応用して連続的に照射が行えるのもリニアックとの違いになります。
副作用を軽減して高い効果は保つ、その目的はトモセラピーもリニアックも違いません。ですがこの2つには、医療技術の向上による違いが出ていることがわかりました。
リニアックも十分がん治療に効果が期待でき、副作用の軽減も期待できる治療法ですが、搭載されている技術力による差は、トモセラピーと比べると大きいのは明白です。つまり、副作用の軽減が望めるリニアックよりも、さらに副作用が少なくて済む可能性が高いのが、照射技術を持つトモセラピーなのです。
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