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がん治療におけるしびれの対処法

がんの治療中は、手や足などのしびれが起こることがあります。しびれ以外にも物を持ちにくくなるといった感覚の症状が起こる場合もあります。がん治療中に起こったしびれの対処方法を探している方へ、ここではがん治療におけるしびれについて、原因や注意点などを解説しています。

がん治療中のしびれとは

「手足がビリビリ/ジンジンする」「何かに触れると痛くてビリッとする」「手足に力が入りにくい」「手袋をはめているような感じがする」といった感覚の異変は、がん治療中に現れる症状のひとつです。「しびれ」と言われます。末梢神経障害のひとつです。感覚の症状としては感じられない場合でも、「ボタンが留めにくくなった」「物を良く落とすようになった」などの変化がサインの可能性もあります。

末梢神経障害でみられる症状

末梢神経障害では、他にも以下のような症状がみられます。

しびれの原因

しびれの原因は、がんによる神経の圧迫やがん治療に使われる薬の副作用などが考えられます。がん細胞の増殖を抑える作用のある抗がん剤のなかに、末梢神経の細胞にも障害を与えてしまうものがあります。

症状が出始める時期や症状の出方、出やすさは、抗がん剤の種類によって異なりますが、治療開始後2週間ほどで出始め、治療終了後に改善していく人が多いです。糖尿病やアルコール依存症、非アルコール性肝疾患を合併している人や低栄養の人は、しびれが出るリスクが高いとされています。症状の出方には個人差があり、がん治療が終わってもなかなか改善しないこともあります。

しびれが起きたときの対処法・治療法

がん治療の薬の副作用によるしびれに対する有効な予防法や治療法は、現時点で確立していません。対処療法として、しびれを和らげるための薬を使用することがあります。また、痛みを伴う場合は鎮痛薬も使用されます。

しびれが生活に大きな影響を与えているなど症状の程度によっては治療の効果を考慮しながら薬の減量や変更、休薬など治療方法の変更を行うケースもあります。しびれの生活への影響を担当医師と相談して、慎重に決めていくことが大切です。

がん治療の薬で起こった末梢神経障害は、しびれを和らげる薬での治療やがん治療の変更を行っても効果がでないこともあります。症状が長く続く場合は、担当医師、薬剤師、看護師に相談しながら、しびれの症状との付き合い方を考えていきましょう。

普段の生活でできること

血行をよくする

治療方法は確立されていませんが、症状を悪化しにくくするための対処方法として、血行改善があります。入浴中に患部をやさしくさするようなマッサージをしたり、手のひらや足の指をグーパーと閉じたり開いたりしてみましょう。

衣服や靴下は締め付けがないものを選んでください。手袋や靴下を厚手にして温めたり、逆に保冷剤を使用して冷ましたりすると有効なこともあります。ただし、冷やすことで症状が悪化する恐れもあるため、冷やし過ぎには注意してください。

がんの治療に使われる薬の副作用によるしびれでは、血行をよくしても効果がないこともあります。

転倒・ケガ対策

しびれがあると、感覚神経や運動神経が鈍くなることがあります。思わぬケガを防ぐために、安全に暮らすための工夫を意識しましょう。

触れている物が熱いことに気づかないと、やけどするかもしれません。鍋など熱い調理器具を掴む場合は、鍋掴みなどを使い、直接触れないよう徹底することが大切です。また低温やけどに注意してください。湯たんぽは低温やけどのリスクが高いため、使用する際は短時間にしましょう。冷たいグラスは落とすかもしれないので、気を付けてください。

また、転倒のリスクもあります。階段や段差、敷物がある場所には注意しましょう。履物は滑り止めがついている脱げにくいものがおすすめ。物を床に置いているとつまずきやすくなるので、注意が必要です。